新NISAで底辺セミリタイアする現実的なシミュレーション

投資

一番最速なのは言うまでもなく、積み立て枠+成長投資枠の360万円を5年で使い切るパターンです。
しかし、一年で360万円なんて入金力のない方の方が圧倒的に多いはずで、そもそも最大1800万円の枠を使い切れる方すら少数派かもしれません。
そこで今回は現実的に、新NISAの積み立て枠オンリーで底辺セミリタイアした場合のシミュレーションを見てみましょう。
「節約マスクのお金の話」さんの動画です。

【新NISAでサイドFIRE】凡人向けシミュレーション【1,800万円を5年はムリ】

新NISAだけでサイドFIREできるのか?

2024年から新しいNISAが始まります、これは日本人投資家の新しい歴史が始まると言っても過言ではないくらいの大きな改正でした。
1800万円をぶち込んでその後、投資でどれだけ増えても課税されない魔法の入れ物を18歳以上の日本人なら誰でも平等に手に入れられます。
1800万円も枠があるので、一般的な入金力の人間は今後課税口座を使う機会がほとんどなくなるかもしれません。

そこで今日は凡人が新NISAだけで投資してサイドFIREを目指した場合の具体的なシミュレーションをします。

凡人を対象にしてるので最初の5年間で毎年360万円ずつ、1800万円の非課税枠を最速で埋めるようなシミュレーションはしません。
もちろん1800万円の枠をできるだけ早く埋めるのは2024年以降の資産形成でめちゃめちゃ重要です、年平均5%と仮定して1800万円を5年で投資すれば、その後は追加しなくても15年後には4300万円になるので十分にサイドFIREできると思います。

でもそんなエリート向けのシミュレーションをしてもあんまり意味ありませんよね、何故なら平凡な人生を歩んできた人の多くは現時点での金融資産はせいぜい数百万円程度、年収も300万円台か400万円台、もしくは世帯年収で500万円、600万円くらいあるけどお子様がいて支出が多くなるのでサイドFIREできるほどの資産形成が進まない感じでしょうか?

どっちにしても5年で1800万円を投入するのは普通に「ちょっと頑張って節約してます」みたいな凡人には不可能です。
「いや俺ならできる」「私ならできるわ」って人は世間一般で言うとかなり少数派の変態だと自覚してください。
この動画では現実的な資金力でのサイドFIREパターンを考えます、動画主が考える今時の凡人はこれだ。

凡人が新NISAでサイドFIRE

■30歳独身でサイドFIRE希望
■手取り年収300万円
■年間の支出200万円
■現在の貯金100万円
■サイドFIRE後は65歳まで手取り年収50万円
■70歳から年金手取り年間100万円
※運用利回り4%

年収は400万円弱で手取りで300万円くらい、そこまで強い欲を持ってるわけじゃないけど節約ガチ勢ほどストイックにも出来ないので年間の資質は200万円、一月あたり16万6666円ですね。
年間100万円程度は投資に回せる余裕はあるものの、20代は少し遊んでたので現在の貯金は100万円だけ。
周りが結婚したり昇進したりして自分の人生が嫌になり始めてサイドFIREしたい、ずっと働き続けるのは嫌だと思い始めた所。
サイドFIREしたらあんまり働きたくない感じなので手取り年収は50万円程度。
65歳まで緩く働いたら完全にリタイアするけど、将来的には年金受給が遅くなったり少なくなってるかもしれないので70歳から受け取りで年間100万円と少なめに仮定。

人によってはツッコミたい項目もあるかもしれませんが、5年で1800万円投資できるシミュレーションよりはかなり現実的です。
この条件で毎年の運用利回りが4%だった場合の資産推移をグラフで表すと大体こんな感じです。

パターン1

まず最初の年だけは貯金100万円と収入から支出を差し引いた分の100万円の合計200万円を新NISA口座で投資できます。
ただ、その後は毎年100万円ずつコツコツ新NISAで投資し続けて47歳になった所で1800万円の枠を使い切ります。
NISA口座の評価額は2600万円くらい、もうちょっと欲しい気がするので51歳まで頑張ります。
NISA口座を埋めた後は本来なら特定口座で投資をしても良いですが、今回は新NISAだけでサイドFIREする検証なので毎年100万円ずつ貯金が増えていってます。
51歳でNISA口座の評価額3100万円、貯金が400万円の総資産3500万円になった所で念願のサイドFIREを実行、おめでとうございます。

その後、毎年50万円しか稼いでないので運用で増える分を加味しても200万円の生活費には届かず資産はだんだん減少します。
ちなみに貯金は何かあった時のために残しておいて、毎年NISA口座分を売却して生活費する計算です。
もう働くのはしんどいから完全にリタイアしようと決意したのが65歳、この時点での金融資産は新NISAに2500万円、貯金400万円の合計2900万円です。
年金がもらえる70歳まではまだ5年あるので、この5年間は無収入でちょっと資産の減少スピードが上がってしまいピンチです。

ただ70歳で総資産が約2400万円になってからは毎年、年金で100万円もらえるようになるので減少スピードが緩やかになります。
本来は資産が減らない状態が理想ですが、年金の100万円と運用で増える分を足しても200万円の生活費には届いてないので、やっぱり資産は徐々に減っていきます。
残りの寿命が短ければ余裕で逃げ切れますが、残りの寿命なんて分かるはずがないので、かなり余裕を持ってないと不安ですよね。
ただこの条件の場合、100歳を迎えた所で1000万円以上の資産を残してるので、よっぽど長生きしなければ生き残れているんじゃないでしょうか。

これが凡人が新NISAで1800万円投資してサイドFIREするシミュレーションです。

サイドFIREと年間リターン

30歳から挑戦して51歳でサイドFIREなんて遅過ぎるって人は各パラメーターを自分なりに調整してください、週に1日程度アルバイトをすれば手取り年収30万円くらいは増やせますし、一人暮らしで200万円の支出はまだまだ下げられると思いますし、サイドFIREした後の収入を100万円くらいに増やしても十分に現役時代よりは緩い生活が可能です。

特に支出は稼いで時も稼がなくなってからも資産の増減に影響を与えるので、凡人がサイドFIREするにあたって生活コストを下げるのはめちゃめちゃ重要です。

あと、そもそも年間のリターンが毎年一律4%になるわけはないので、もっとサイドFIREが早くなる可能性だってあるし、遅くなってしまう可能性もあります。
実際の年間のリターンはマイナスになることもあればプラスになることもあるので、仮に年間の収入や支出が毎年一律だとしても、こんなに綺麗な資産推移になりません。

特に資産が増えてくる後半は運用成績の影響が大きくなってくるのでもっとジグザグするはずです。
試しに他の条件は全て同じにして平均リターンだけ過去の実際のリターンに置き換えて検証してみましょう、使用するのは1928年から2022年までのS&P500の過去の実際の年間の騰落率を数字をランダムで並べ替えた上でシミュレーションに使用します。
当たり前ですけど都合のいい並びに改変せず、スプレッドシートのランダム化の機能を利用して一発勝負で出たものを採用しました、その資産推移がこちらです。

パターン2

運用金額が少ない最初のうちはそこまで運用成績が与える影響が大きくないので、割と順調に増えていきます。
入金力は同じなので最初のシュミレーションと同様に47歳で1800万円の非課税枠を使い切ります。
ただ総資産は全く違ってて、さっきは2600万円だったのに対して今回は5200万円です、もうそのままサイドFIRE出来そうですね。
と言うことで今回は1800万円を投資に回した47歳時点でサイドFIREを実行します、おめでとうございます。

ただサイドFIREして4年後にマイナス38%の悪夢の大暴落を食らって資産は2900万円まで激減してしまいます、ちなみにこれはリーマンショックの年の騰落率ですね。
その後は増えたり減ったりを繰り返しながらサイドFIRE生活を続けて、65歳で完全リタイアしてから5年間の無収入期間がありますが、そこそこ相場に恵まれて乗り切りました。
ここからは年金がもらえるから一安心と思っていたら直後にまさかのマイナス39%の大暴落、3200万円あった資産が1900万円に減ってしまいます。
これはやばい、サイドFIRE失敗かその後もじわじわ下がって、少し戻したと思ったら70代後半でまた大きな下落相場に見舞われます。
「もうやめて」79歳の時がどん底で資産が960万円まで下がってしまいます。

ただランダムで並べ替えた終わりに下がった後の上昇相場がちゃんと来てくれて、その後は資産は割とモリモリ増えていきます。
100歳の時に保有資産の最高を更新して6300万円でフィニッシュです。

過去の数値をランダムに並べ替えたシミュレーションでも100歳までしっかり生き残れました。
株式100%のリスクだとリタイア後に大暴落が来たらかなりきついですが、まさにこのシミュレーションでの70代は地獄のような相場でした。
「こんなにマイナス並ぶなよ」ちょっと一発目から失敗しそうでビビりました。
株式100%の運用はリターンが高い代わり、値動きリスクも大きいので今回のシミュレーションでは失敗になる可能性も十分にあり得ます。

パターン3

ではサイドFIREが失敗するまでリターンをランダムで並べ替えて繰り返します。
こちらは先ほどと比べるとあんまりピンチはなさそうに見えますね、ただ47歳の1800万円の投資が完了した時点で総資産が2700万円程度しかないので最初の一律4%上昇のパターンと同じようにその後4年間は会社で働いて51歳で満を実施してサイドFIREしてます。

ちょっと話が脱線しますが、いくら程度の資産があればサイドFIREが出来そうかの判断は基本的に4%ルールをベースに考えると良いと思います。
有名な話ですが、毎年4%のリターンがあると仮定すると、運用資産が年間の資質の25倍あればFIREできます。
毎年200万円の支出なら200万円×25の5000万円が必要ですね、5000万円が4%増えれば200万円になるからって単純な計算です。
サイドFIREの場合は収入があるのでその分は差し引いて考えます。
200万円の支出があるけど50万円は自力で稼ぐつもりのサイドFIREなら運用で増やす必要があるのは150万円×25で3750万円あればサイドFIRE出来そうかなって感じです。
本来4%ルールは株式プラス債券のポートフォリオで成功確率が高まるものなので、株式100%の今回のシミュレーションでどこまで通用するかは分かりません。

そして今回の例では65歳までサイドFIREして、その後5年間は収入なしで70歳から年金を貰い始めて、また収入がある、ちょっとだけ複雑な感じなので一概にいくらでサイドFIREするのが正解とは言えません。
とりあえず非課税限度額の1800万円を埋め終わったタイミングで運用したのが3750万円を超えたら即サイドFIRE実行、超えてなかったら働き続けて運用資産が3750万円を超えた所でサイドFIREを実行するルールでシミュレーションしてます。

グラフに戻って今回のシミュレーションはパッと見はピンチはなさそうに見えますが、結構怖そうな場面もあります。

例えば56歳から61歳までの6年間、51歳でサイドFIREして55歳までは順調に資産が増えて5700万円、めっちゃ良い感じだと思ってたらマイナス23%、プラス10%、マイナス3%、マイナス9%、マイナス11%、マイナス11%とかなりの下落相場に見舞われて、資産2900万円まで減少してしまいます。
残りの資産が2900万って数字だけを見れば、そこまでピンチって感じはしないかもしれませんが、5700万円が見る見る溶けていく焦りだったり、これだけの下落相場だと恐らく世間では「株式投資の時代は終わった」みたいな空気も流れてるはずなので、そこから感じる不安だったりを想像すると結構苦しそうじゃないですか?
それに耐えて65歳までで4400万円まで持ち直して「よっしゃー、完全FIREしてやったぜ」と思ったらマイナス28%の大暴落を食らいます。
何年か前の下落相場を味わった経験がある分、ここから5年間も無収入で本当に大丈夫なのかって不安が付き纏いそうですよね。

ただ、その後は割と順調に資産を増やせていて、97歳のピーク時には何と1億5000万円を突破してます。
「そんなに使い道ねえよ」ってツッコミはさておき、このケースでもしっかり生き残れました。

パターン4・5

では次、サイドFIRE出来たのは遅かったものの、かなり安定感のあるシミュレーションになりました、MAXでは何と2億円を突破してます。
では次、ここで失敗例が来ました、残念ながら95歳で資産がマイナスに突入してしまい、失敗です、このあたりが株式100%のリスクですね。

収入がなくなった後にマイナスの年が続いて大きく資産が目減りしてしまうと、その後の上昇相場での増加金額が少なくなる上、生活費は取り崩さなくてはいけないので、なかなか資産が増えず枯渇してしまうケースがあります。
このパターンでは68歳からの5年連続のマイナスがかなりきつかったですね、4700万円あった資産が1200万円まで減ってしまってます。
その次の年は+38%と大幅に上昇してますが、運用金額が少ないのであまり破壊力がありません。
最後にいくつか補足します。

補足や伝えたいことなど

補足1・今回利用した過去データは世界恐慌のデータも含まれている。

世界恐慌と言うのはS&P500の最高値からの下落率が80%を超えた、とんでもない大暴落層です。
100年近く前の話で今とは時代が違い過ぎるので、この手のシミュレーションをする時は世界恐慌時のデータは含めない場合も多いですが、今回はあえて含めました
それに加えて配当が含まれてない指数そのもののリターンなので、実際のトータルリターンより騰落率は低くなってます。
動画主がこう言う計算をする時はちょっと控えめにしておく慎重なタイプなので、意図的に不利になりそうな条件でシミュレーションしてます。
あと配当を含めていないのはインフレ考慮的な面も一応あります。

補足2・今回利用した過去データはドルベースの数値である。

変動相場制に移行したのは1973年からで歴史が浅いのでドルベースの騰落率を採用してます。

補足3・自分の寿命は分からない

今回の検証では100歳で資産が残っていれば成功、それまでに一度でもマイナスになったら失敗と言うルールですが、平均寿命くらいで亡くなっていれば最後のケースでも資金は枯渇しませんでした。
逆に言うと、成功になってるケースでも100歳以上まで生きてたら資産がゼロになってしまう場合もあり得ます。

補足4・株式100%の全力投資にこだわる必要はない

株式100%と言うのは値動きリスクがめちゃめちゃ大きいです、過去に実際にあった騰落率をランダムで抽出して当てはめたシミュレーションを何回か繰り返すと億り人になれるケースもあれば、すぐに資産が枯渇してしまうケースもあり、振れ幅がすごく大きいです。
リスクを下げてくれそうな資産を組み合わせるか、それとも現金を増やしてリバランスしながら調整するか、色んな考え方があります。
動画主はサイドFIREしたと言いつつ、今の所は生活費以上のお金を稼げている状態なので、株式100%でもそんなに気になってません。

ちなみに株式と債券でポートフォリオを組むのがポピュラーな考え方ですが、今後も長期に亘ってそのポートフォリオが良い感じに機能するかはちょっと未知数だと考えてます、今に限れば債権投資は結構良い時期だと思いますけどね。

補足5・サイドFIREが成功するかなんてやってみないと分からない

どんなにシミュレーションを重ねても相場がどう動くか、何歳まで生きるか、何にどれだけ投資するか、収入や支出がどう変わるか未来のことなんて分かりません。
ただシュミレーションすることで最低このくらいの運用資産は必要だとか、もっと収入を増やさないと厳しそうだとか、支出を削れば意外といけるんじゃないかとか、色々見えてくるものがあり、シミュレーションに意味がないわけではありません。

補足6・本当は扶養家族がいる場合も計算したい

こう言うシミュレーションをすると「なんで独身子なし前提なんだ、子供がいる家庭の場合もシミュレーションしろ」って最もな指摘を受けることがあります。
正直、独身なら収入と資質をずっと一律にして計算しても自然だから楽チンだし、モデルケースとの解離も少なそうです。

お子様がいる家庭だと共働きできる時期、できない時期や、学費が多く掛かる時期、子供が独立した後とかで投資に回せる金額が大きく変わるので、万人がある程度納得できそうな一般的なケースを定義し辛いです。

補足7・1800万円の非課税枠はやっぱりすごい

新しいNISAでもらえる1800万円の非課税枠を使い倒すことで凡人でも大きな資産を築ける可能性が広がりました、数千万円でサイドFIREしてても後に億り人になってるケースもありましたからね。
別に1800万円の枠を埋めれば絶対にサイドFIRE出来るわけじゃないですし、誰もがそれを目指すべきだとも思いません。
ただサイドFIRE出来る出来ないに関わらず、とてつもない可能性を秘めた金額が1800万円で、それをどれだけ大きく膨らませても非課税で売却できるのが新しいNISAです。

自分に無理のないペースで良いので、1800万円を目標にコツコツ埋めましょう。

【新NISAでサイドFIRE】凡人向けシミュレーション【1,800万円を5年はムリ】雑感

月に払える金額ごとに分けてて、だいぶ現実味のあるシミュレーションでしたね。
積み立て枠オンリーだと最短でも15年、月の金額が減った分だけ、さらに期間も伸びるので気が遠くなりそうです。
底辺セミリタイア生活をなるべく長持ちさせるため、いかに支出を抑えるか、資金を新NISAへの投資分に入金するのか、貯金との兼ね合い、さらに労働収入の割合も大切ですね。

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