底辺セミリタイアは積み立てより「取り崩し」こそ難しい?

投資

理論上は4%ルールで運用益を取り崩せば資産は減らないみたいですが、実際に資産を取り崩せる度胸があるかと言えば正直、自信がないです。
(まだ恩恵に預かった機会すらないですが)資産が増えた時はもっと増えるのを期待して一切手をつけなかったり、逆に目減りした時は資産の現象を食い止めたいあまりに手をつけなかったり。
それじゃ、いつまで経っても資産を取り崩せないじゃないか!とツッコミが入りそうですが、それだけ資産の取り崩しは難しいわけです。
そんな悩みを抱えながら動画を漁ってたら、資産の取り崩しに関する本を見つけたので紹介します。

【要約】つみたて投資の終わり方 100年生きても大丈夫!【カン・チュンド】

はじめに

今回は投資信託クリニック代表でインデックス投資アドバイザーのカン・チェンドさんの書かれた「積立投資の終わり方 100年生きても大丈夫」を解説します。
この本は一言で言うと投資の終わり方を教えてくれる本だ。

積立投資の始め方や資産の増やし方について解説してくれる本は数多くあるが、実は積立投資の終わり方についてあまり触れられてない。
もちろん死ぬまでひたすら積み立てて資産を増やすのが生きがいって人もいるかもしれないが、あの世にお金は持っていけないからな。
老後や仕事を辞めた後、困らないようにって貯めてたお金を死ぬまで貯め続ける必要はないですもんね、確かに貯めてたお金をどのタイミングでどうやって使ったら良いのか全く考えてませんでした。
本書はその投資の下り部分に特化して、効果的な資産の取り崩し方について分かりやすく解説してくれている。
今回の授業を受ければ、そんな資産の最終的な運用方法を学び、将来設計に迷わなくて済むようになるだろう。

投資の真の目的は使うこと

1つ目は投資の真の目的は使うことだな。
投資の話に入る前に少し登山の話をしよう。
登山は上りより下りの方が難しいと言う、ヒマラヤなどに挑戦するにしても上りなら悪天候で待機、それでも無理そうなら一旦引き返して再挑戦もできるが、下山となると悪天候だからと言って、ずっとその場に留まってると食料も体力も尽きてしまう。
資産の取り崩しに関するカウンセリング業務を日々行ってる著者に負わせると登山と投資は似ていて、資産を増やすと言う登りよりも、積み上がった資産を売却して使う道のりの方が遥かに困難だと言うことだ。
本書は基本的にはすでに積立投資を実践中で大体後10年くらいでリタイアを迎える人向けに書かれてるが、もちろん若い投資家にも有益な内容だ。
これから投資を始めようって人は登山の例で言うと「これから山に登ろうかな」って人だ。
登り始めてから下りのことを考えるより、登る前から下りの計算を頭に入れた方がより計画的に登山できる、始めてからこのペースだと下山が間に合わないと知って途中で引き返すこともなくなるしな。
投資も同じで、終わり方を知った上で始めた方がより計画的に進められるんだ。
ここでちゃんと理解しておいて欲しいのが、投資の真の目的は「お金を増やすことではない」と言うことだ。
積み上がった資産を計画的に取り崩して、そのお金を有意義に使うことこそが重要なんだ。

総資産額は減っていくと割り切る

次は「総資産額は減っていくと割り切る」だな。
積立と取り崩しは行為としては逆だが、どちらも同じリズムを持っている。
リズム、つまり規則的にお金を積むか、規則的にお金を崩すかの違いだ。
多くの人は積み立て当初、いきなり数百万円のお金からスタートせず毎月コツコツ一定額をが出てきたはずだ。
世の中の状況で金融相場や市場は大きくアップダウンする。
それに対して、長く投資を続けることでリスクを分散してうまく対応してきたわけだ。
そして取り崩しの場合も同様に市場の乱高下に惑わされず、同じ姿勢を保つことが重要だ。
変に大きく利益を得ようとして市場が上がった時を狙って取り崩しをしようとか考えず、コツコツと取り崩すんだ。
していくんだ
ここで簡単に取り崩しのざっくりしたやり方を説明しよう、もし全資産を向こう30年の間、年平均3%のリターンで増やせる前提で考えたとする、すると毎年3%増えるわけだから毎年3%分だけ取り崩しを行っても30年後の資産額は理論上変わらない。
だが実際には毎年の損益は変動するし、さらに投資信託の売却益には当然税金が掛かってくるから実際には資金は目減りすると思った方が良い。
ここで重要なのは資産の取り崩し期を通じて「資産は減っていくもの」だと受け入れることだ。
人生が尽きる時に総資産額は半減していても良いと割り切ることが大切なんだ。
そうしないと、いつまで経っても資産を取り崩すのを苦痛に感じるようになってしまうからな。

リタイアに備えて支出を減らす

次は「リタイアに備えて支出を減らす」だな。
積立投資する上で頭に入れないといけないのが「基本的には誰にでもリタイアする日が訪れる」ことだ。
サラリーマンなら会社を退職する日から、生活はお金を稼いでお金を得る暮らしから、お金を取り崩し、お金を使う暮らしに一変する。
自分の稼ぎではなく、自分の資産に頼らなくてはいけない生活の始まりだ。
現役時代はお金を稼ぐための支出、例えばスーツを買ったり仕事の専門書を買うこともあるが、リタイア後の生活ではお金を使う=生活のための純粋な支出となる。
毎月その支出を気にしながら自分の資産をそこに当てていく暮らしをするわけだ。
言わば支出中心の生活になってくる。
生活が様変わりするからには、新しい生活習慣を身につける必要が出てくる。
一般に退職直前の支出額がリタイア後にも反映されると言われてる、退職前に毎月30万円使っていたならリタイア後も月30万円ほどの支出になりやすい。
そこで重要なのがリタイアするまでに支出のスリム化を図ることだ。
支出のスリム化、暮らしの中身をシンプルにしながら、特に毎月支払っている固定費を見直すべきだ。
アプリなどの月額料金、スマホ等の通信費、終身保険など、子供がある程度大きくなれば死亡保険なども不要かもしれない。
もし車を手放せる環境ならガソリン代、駐車場代、自動車税、保険料、車検費などの維持費を削減できる。
そうやってリタイアするまでにある程度支出をスマート化すると、より無理のない取り崩し期を過ごせるはずだ。

お金は増やすより使う方が難しい

次は「お金は増やすより使う方が難しい」だな
ここでは老後もお金を増やすのはなかなか止められない人がいることについて説明しよう。
老後を前にしてもなかなか投資信託などの資産を増やすのを止められない人が数多くいる、それは資産の額、その数字自体が老後の安心と結びついてしまってるからだろう。
だが多くの人が、老後でもお金を増やすことに執着する真の理由は「資産を増やすより資産を使う方が難しいから」なんだ。
実はお金の増やし方というのはある意味普遍的で、支出をコントロールし長期で分散投資で積み立てる方法をひたすら続けるだけ、言わば増やし方は正解がある程度あって、それを真似すれば誰にでも簡単にできるわけだ。
だが一方、積み上がった投資信託を解約し、そのお金を使うことはものすごく個人的な行為で、使い方に正解、不正解はない。
だからこそお金の使い方には本人の本性が現れるし、何にお金を使うべきかは実は結構難しい問題なんだ。
そして人はその難しい問題を避けるため、とりあえずお金を増やすことに執着したがる。
特にお金を増やすのが得意な人にとっては、お金を使うよりひたすら増やし続ける方が楽なんだ。

資産は心の借金

次は「資産は心の借金」だな。
さっきお金を増やすより使う方が難しいって話をしたけど、資産形成をしっかりやるのは素晴らしいことで、それを続けられるのは褒められるべきことだ。
だが人生のあるポイントで増やす人から使う人にシフトしないと、自分の資産を死ぬまで大事に飾って数字だけを心の拠り所にする人になってしまう。
増やす人から使う人に変身するタイミングを逃すと資産を崩すのが一層苦痛になるし70歳になっても頑張って節約して年金の範囲内で暮らそうとして死の直前に生涯で最も資産が大きくなってる状態に成りかねない。
投資信託を解約してお金を使うことに不安を感じる人は少なくない、だがそれは単に未経験で慣れてないってだけだ。
考えてみて欲しいけど88歳で8800万円の資産があるとしよう、だが別の視点で見れば、この8800万円は心の借金だ。
人生は有限だ、その8800万円分、その人が本当なら今までの人生で経験できたり思い出になってたはずのことが、数字として溜め込んでたせいで、まだ未購入になってるとも考えられる。
人生でやりたいことが100個あったとして、その8800万円を使っていれば100個とも叶えられたかもしれない、だが資産を増やすことに捉われ過ぎるとお金を使えなくなり、死を直前にして100個のやりたいことのうち30個しかできてなかった、なんてこともあり得る。
お金は利用してこそ、その価値が最大化することは覚えておいてくれ。

安全資産とリスク資産に分ける

次は「安全資産とリスク資産に分ける」だな。
リタイア後語に向けて考えるべきこととしてリスク資産と安全資産の割合がある。
さっきまで話してた投資信託など、価値が変動し元本の保証がないものがリスク資産、逆に銀行の預貯金や国債など価値の変動がほとんどなく元本が確保されてる資産が安全資産だ。
簡単に言うと投資信託や株みたいに価値が変動するやつがリスク資産で、価値が変動しない銀行の預貯金が安全資産だと思えば良い。
その名のとおりリスク資産は暴落などで資産価値が激減するリスクがあるから、安全資産リスク資産の割合が5対5より、3対7の方が背中に背負うリスク量は大きくなる。
そしてリタイア前の準備期間に資産の棚卸をして利率を算出すると良い。
そして個別株やら外貨預金やらリスク資産がばらけてる場合は投資信託のみに絞ってしまって良いだろう。
安全資産は基本的に預金と個人向け国債くらいで十分だ。
そしてリスク資産の割合が高いなら少しずつ減らして安全資産の割合を増やす、例えば完全資産リスク資産の割合が2対8とかなら徐々に5対5くらいの割合にしよう。
具体的にはリタイアまでの5年くらいでリスク資産を少しずつ解約して、戻ってきたお金を預金にシフトするんだ。
リタイア後はリスク資産の割合が高いと一概にダメってわけではないが、例えばリタイア後、65歳の時にほぼ全資産をリスク資産で管理してた場合、戦争や世界的なアクシデントによって資産がいきなり半分以下になったらきついだろう。
だが半分を安全資産に移せば、そちらは影響を受けないからリスクも半分になる。

リスク資産を1本化する

次は「リスク資産を一本化する」だな。
さっき安全資産とリスク資産の割合について説明したが、さらにリスク資産の具体的な整理の仕方を説明しよう。
結論から言うと全世界株式インデックスファンドに一本化すると良い。
投資をこれから始める人向けに簡単に説明するとファンドは投資信託のことで、例えば日本株式ファンドならそれ1本で日本の複数の株に投資できる。
その中でも著者がオススメしてるのは全世界株式インデックスファンドの「eMAXIS Slim 全世界株式」通称オールカントリーだ。
オールカントリー1本で日本、先進国、新興国の数千の株式を網羅してくれる。
リスク資産をオールカントリー1本にまとめることで資産管理がシンプルになり、取り崩し作業そのものが簡単になるメリットがあるんだ。
またリスク資産をスリム化する別の方法にバランスファンドに一本化する手もある。
ここでは詳しくは説明しないが、ざっくり言うとバランスファンドは株式は債券など異なる資産を組み合わせた投資信託で、100%株式のファンドに比べるとよりリスクが低い特徴がある。
本書ではeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)、楽天・インデックス・バランス・ファンドの均等型と株式重視型、3つのバランスファンドが推奨されてるぞ。

トータル資産から3%で取り崩す

最後は「トータル資産から3%で取り崩す」だな。
取り崩しのポイントを説明するために一つ例え話をしよう。
ここに小さなタンクに入った栄養たっぷりの温泉水があるとしよう、お前はそれを健康のため毎日1日1杯飲み続けたい、ところが小さなタンクに入った温泉水はコップに3杯分ドバッと出る日もあれば、全くお湯が出ない日もある。
なるべく長く1日1杯の温泉水を飲み続けるためにはどうすれば良い?
お湯が多めに出た時は器に溜めておいて、出ない日はその分を飲めば良い、これを投資に当てはめると温泉水は価値が変動するリスク資産だ、景気が良ければ利益が出てくるし株が暴落すれば利益は出ない。
そして温泉水を溜めておく器が銀行預金などの安全資産だ。
つまりリスク資産が大きく膨らんだ年には多めにファンドを解約して取り崩しに当てると同時に一部を安全資産に移しておく、逆にリスク資産が落ち込んだ年にはファンドの解約をせず、安全資産からのみ取り崩す、これがお湯が多めに出た時は溜めておいて、お湯が出ない時は溜めておいたお湯から飲むと言うことだ。
老後の資産において安全資産とリスク資産はこうやって、それぞれ独自の役割を担っていて互いが補うことで資産をより長持ちさせられる。
ここでは説明し切れないので詳しい説明は省くが、安全資産とリスク資産を合わせたトータル資産から3%の割合で取り崩す方法を著者はオススメしてるぞ。
トータル資産が4000万円あるなら年に120万円取り崩すってことだ。

まとめ

まとめだな。
投資の真の目的は使うこと。
総資産額は減っていくと割り切る。
リタイアに備えて支出を減らす。
お金は増やすより使う方が難しい。
資産は心の借金。
安全資産とリスク資産に分ける。
リスク資産を一本化する。
トータル資産から3%で取り崩す、だな。
これから投資を始める人には少し難しかったかもしれないが、知っておいて損はない話だ。
最初も言ったように投資の仕方を教えてくれる本は沢山あるが、投資の終わり方を教えてくれる本は珍しい。
先の話に思えるかもしれないが何となくで投資を始めるのと、終わり方をイメージした上で始めるのでは大きな差が出るはずだ。
授業では少し掻い摘んで説明をしてるので、もっと詳しい内容が知りたい人はぜひ本書を隅々まで読むことをオススメするぞ。

【要約】つみたて投資の終わり方 100年生きても大丈夫!【カン・チュンド】雑感

どうやら、自分なりのルールを構築するのが大事みたいですね。
資産が貯まれば貯まるほど安心できる反面、お金を使うことで得られたはずの経験ができない…図星でした。
お金は使ってこそ価値があるのは紛れもない事実なので、何にお金を消費すべきなのか、一旦見直さないといけないようです。

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