えっ、資産800万円ぽっちで底辺セミリタイアできるんですか?

セミリタイアする方法

底辺セミリタイアする方法を探っていたら、今度は「資産800万円で底辺セミリタイアできる」と言う情報を見つけたので、吟味してみたいと思います。
(2021年09月18日の動画で、ちょっと情報が古いので注意)

どうやら「貧乏セミリタイア」自体、あることを我慢すれば誰でも達成できる上、実は気づいてないうちに達成している可能性すらある、らしいです。
「あることを我慢」って、具体的に何を我慢すれば良いのでしょうか?
それでは実際に動画の内容を追ってみましょう。

FIREに関する前提条件

前提条件として「FIRE」の説明を挟むと「Financial Independence, Retire Early」の略で「経済的自立」と「早期リタイア」を意味します。
FIRE達成に必要な金額は年間生活費の25倍、年間生活費が低ければ低いほどFIRE達成に必要な金額が少なくなり、逆に生活費が高ければ高いほど、必要な金額も多くなります。

一体どうして「25年分の貯蓄」が必要なのかと言うと、セミリタイア業界では「4%ルール」と言って、株や債券などの資産を毎年取り崩す場合、資産全体の4%以内に収めると、95%の確率で30年後も資産が残っていたと言う米トリニティ大学のグループのデータ(トリニティスタディ)に基づいています。
あくまでも米国での理論なので、日本で当てはめる場合は「3%」にした方が良い、と言う話もあるので注意が必要、鵜呑みにしないでください。
※動画内ではあくまでも「年間生活費の25倍」で話を進行しています。

貧乏セミリタイアの生活費と内訳

ここで「貧乏セミリタイア」の話に移ります。
貧乏セミリタイアは生活費を極限まで節約したセミリタイア方法で、FIRE達成金額が圧倒的に少ないと言うメリットがあります。
実際に貧乏セミリタイアしている方がブログやyoutubeで発信されている支出額を算出すると……

生活費 月 55,400~80,400円 年間 664,800~964,800円
※単身世帯

と言う感じで、FIRE達成に必要な「年間生活費の25倍」を算出すると……

貧乏リタイア
完全FIRE 1,662,000~24,120,000円
サイドFIRE 831,0000~12,060,000円

理論上ではこの金額でサイドFIRE出来るそうです。
サイドFIREですが「月の半分の生活費を資産からの取り崩しで賄い、残りの半分をアルバイトや副業等の労働で賄う」セミリタイア方法です。

大抵の人にとっては毎月の家賃とほぼ変わらない、常識では考えられないレベルまで生活費を落としてます。
800万円でサイドFIRE達成できるなら、支出をカットすれば誰にでも達成出来る可能性があります。

普通に考えたら家賃程度の料金で一ヶ月の生活費を賄えるなんて理解不能ですが、細かい生活費の項目を追ってみましょう。

貧乏セミリタイアの家賃

最初は「家賃」です。

家賃 月 5,000~20,000円 年間 60,000~240,000円

すでに家賃の時点で数字がおかしいです。
一体どこにそんな破格の安さの物件があるのか?と思ったら、どうやら「空き家バンク」を利用するようです。

そもそも「空き家バンク」とは、人口減少や都市部への人の流入で地方はどんどん空き家が増えているので、空き家を売りたい、貸したいと言う所有者と、田舎に行ってスローライフを送りたい田舎で暮らしてみて空き家をこれから利用、活用したいと考えている人を、空き家がある市町村が仲介役になって結びつける制度です。

動画では島根県吉賀町の例を取り上げていて、毎月2万円で借りられる一軒家の物件や、すでに成約済みだけど10万円で販売されていた物件もありました。
両方とも補修する必要はありそうだけど改修の補助金も出る物件だそうです。

場所によっては電気ガス水道の通っていない小屋みたいなところであれば年間1万とかで借りられたり、山間部で1万5千円とか、比較的に交通のいい場所でも2万円代が多数あったり、地方には意外とあるようです。

離島になると1LDKで5000円の賃貸があるなんて良く聞くので、もう少し探したら一人暮らし用でワンルーム2万円以下の物件なんかもあるんじゃないか、と推測しています。

と言っても問題点が色々とあるのも事実、まず田舎に移住する場合は車やバイクが必須で、ガソリン代等の車の維持費も掛かってしまいます。
(交通費は後程説明します)

さらに都会と違って小売店も店舗数が少なく、市場競争が乏しく競争原理が働かないので小売店や各種サービスが「殿様商売」になって、結果的に生活コスパが悪くなって生活費が掛かってしまうと言う懸念点もあります。

田舎特有のルールを強要させられる問題もあり、消防団や自治体の存在、勝手に家の中に上がってくるケースがあり、田舎のルールに慣れている方や、人付き合いが好きな方じゃないと難しいかもしれません。

どうしても田舎暮らしが嫌な場合は地方の郊外辺りで中古マンションを購入すると言う手もあり、住居費や管理費も低く抑えられるそうです。

貧乏セミリタイアの食費

次に「食費」の説明に入ります。

食費 月 10,000~15,000円 年間 120,000~180,000円

極端に支出が低い方は少ないようです。
毎月15,000円以内に抑える場合は1日500円までしか使用できない計算になるので、出来る限り自炊することが重要です。

ここでも突っ込みが入って、フルタイム勤務だとなかなか時間が取れず、毎日自炊するのは難しいんじゃないかって問題があります。
何日分か一気に作り置きする等の工夫が必要です。

人によって価値観が全く違うので、1日500円だと食べるものが偏ったり、食べたいものが食べられないストレスがあるので難しい人が大半です。
アルコールや調味料などを含めて月2万円~3万円が現実的なのかもしれません。

貧乏セミリタイアの水道光熱費

次は「水道光熱費」です。
真っ先に下げるべき固定費の一つです。

水道光熱費 月 5,000円~10,000円 年間 60,000~120,000円

電気・ガス見直しサイト「エネチェンジ」を使えば、電気料金やガス料金を他社に変えることでどのくらい安くなるのかを比較そうです。

料理を作る時はihコンロを利用する手があります。
(オール電化の場合も電気代が高騰すると光熱費がかさむと言う欠点もあり、ガス代との兼ね合いも含めて検討する必要があります)

お風呂はシャワーだけにする等の工夫で光熱費も抑えられる上、割安の町営ジムや体育館などに備え付けられたシャワーを利用する手もあります。

貧乏セミリタイア界隈で有名な「ミクさん」の場合、そもそもガス会社とは契約しておらず、お風呂やシャワーは、ポットで水を温めて身体を洗っている、どうしても風呂に入りたい場合は銭湯に行っているそうです。

貧乏セミリタイアの通信費

次は「通信費」です。

通信費 月 3,000円 年間 36,000円

ここ最近は大手キャリアも料金を下げてきたり格安simを使う手もあります。

次は「日用品」です。
トイレットペーパーやシャンプー、洗剤など毎月掛かってくる項目です。

日用品 月 3,000円 年間 36,000円

生活範囲内に100円ショップやディスカウントショップなどがあると、生活費を大きく下げられます。

貧乏セミリタイアの交通費

次は「交通費」です。

交通費 月 5,000円 年間 60,000円

田舎に住んでいると車が必要で、車はどんどんお金を支出させる厄介な乗り物なので、車と比較して価格も安い「バイク」を利用しましょう。
バイクは非常に燃費が良くグーバイク(GooBike)で燃費のいいバイクランキング1位に選ばれた「Honda Little Cub(セル)」ならリッター113キロも走れるのでガソリン代もそこまで掛かりません。
一般的に燃費が良いと言われている軽自動車でもリッター30キロ程度なので、バイクの燃費の良さも桁違いです。

貧乏セミリタイアの国民年金と健康保険

残った「国民年金」と「健康保険」も計算します。

国民年金 月 16,500円 年間 198,000円
健康保険 月 7,900円 年間 95,000円

全ての生活費を合わせると……
合計 55,400~80,400円 年間 664,800~964,800円
になります。

現実的に貧乏セミリタイア達成まで何年間掛かる?

ここで通常のセミリタイアに必要な金額を振り返ります。
総務省の2020年度の家計調査年報によると、毎月の生活費が……

単身世帯 150,506円
2人以上世帯 277,926円

です。
※2人以上世帯はあくまでも「以上」なので極端な話、10人世帯のような大家族のデータも入っているので2人世帯にとってはもう少し生活費が高く見えるかもしれません
※住居費が極端に低いが住居費に関しては住宅ローンの返済額が生活費に含まれておらず、寮や社宅、実家暮らしなので家賃が掛かってない人も含まれるので実際の金額よりも少なく見えるかもしれません

FIRE達成に必要な金額は年間生活費の25倍(理論値)なのでセミリタイアする場合は……

単身世帯 45,151,800円
二人以上世帯 83,377,800円

になり、いかに「貧乏リタイア」の金額が圧倒的に少ないかを思い知らされます。

※貧乏リタイアの場合
完全FIRE 1,662,000~24,120,000円
サイドFIRE 831,0000~12,060,000円

仮に貧乏セミリタイアを目指そうとした場合、平均年収をもらっているサラリーマンの場合、何年で達成できるかをシミュレーションします。

国税庁の令和元年分の年間給与実態統計調査によると……

男性 額面539万円 手取り449万円
女性 額面295万円 手取り253万円
全体 額面436万円 手取り366万円

です。
366万円から年間生活費66万円を引いて、余剰金の300万円を投資信託で利回り4%で運用すると、

366万-66万=300万円、2年9ヶ月でサイドFIRE達成、5年3ヶ月でFIRE達成
366万-96万=270万円、4年3ヶ月でサイドFIRE達成、7年11ヶ月でFIRE達成

となります。
貧乏セミリタイアでは年間生活費が圧倒的に少ないので収入が平均程度でも短期間でFIREが達成可能。
しかし貧乏セミリタイアのメリットはFIREに必要な金額が少ないことや、短い期間でFIRE出来る点でもないそうです。

貧乏セミリタイアのメリット

・FIRE達成金額が少ない
・短期間でも達成可能
・生活費が少ないため資産を取り崩さなくて良い可能性がある(一番のメリット)

特に「資産を取り崩さなくても良い可能性」があるのがポイントで、生活費を月5万円~8万円程度まで抑えられるなら、資産の取り崩しをしなくてもアルバイトでも十分稼げるので、正社員と比べると少し気楽に楽しく働けます。

最低賃金が一番低い場合(秋田・鳥取・島根・高知・佐賀・大分・沖縄・792円)でアルバイトをする場合

55400÷792=70時間
70時間÷8時間=9日 週2日労働
80400÷792=101時間
101時間÷8時間=13日 週3日労働

何よりアルバイトで健康的に働けば資産を取り崩すことなく生活出来るようです。
ここで突っ込みが入りまして今のご時世アルバイトすら出来ない人が増えていて、職にありつくことすら厳しい時代なので注意が必要です。
次はデメリットの話です。

貧乏セミリタイアのデメリット

・幸福を感じられる人が限定的(交際費がほぼなかったり娯楽費が非常に少ない、友人とお酒を飲むのが好きな方やオシャレをするのが好きな方は少しキツいセミリタイア方法)
※散歩やランニング、読書が好きと言った、あまりお金が掛からなくても幸福を感じられる人にとっては実現できるセミリタイア方法
・残りの人生、限られた収入で節約を強いられる生活を続けられるか?
(一旦リタイアすると収入による信用がなくなるので別の賃貸物件への引っ越しが困難になるので、一生その生活を続けることになる)

・変化に弱い(貧乏セミリタイアに対応されている方は独身の方ばかり、もし恋人が出来たり結婚願望や子供が欲しくなった時に一気に生活が変わり、途端にセミリタイア生活が破綻する。もし結婚願望が出てきた際に備えてセミリタイア期間中に稼げる事業所得を育てておく、という考えもある)

生活費を賄えれば良いわけなので自分で事業を作ったりブログやyoutubeで好きな時に働いて稼ぐのでも全然OK、さらに、もしアルバイトや副業などで毎月の生活費を上回ることが出来れば資産を取り崩さず、その月だけ少し生活費を上げたり、余剰金として投資信託などに投資することが出来るようです。

貧乏セミリタイアは短期間でFIREできる代わりに、もし暴落などが来てしまった時に非常に弱いデメリットがあるので、そのため自分が好きな仕事で生活費を賄い、資産に手をつけないことがベストです。

毎月3万円、利回り4%程度が見込める投資信託に15年預ければFIRE達成後も新しく投資した金額分だけでも15年後なんと738万円にまで膨らむので、自分が好きな仕事をして生活費を賄えれば資産を減らさずに生活費を上げられる可能性もあります。

貧乏セミリタイアのまとめ

全体をまとめると「貧乏セミリタイア」とは……
・生活費を極限まで節約したセミリタイア
・FIRE達成金額が圧倒的に少ない
・一番の特徴、資産を取り崩さずFIRE達成する可能性が高い
・結婚等の大きな変化に弱い

と言った感じです。
「欲」さえ我慢すれば誰でも達成できるので、仕事がブラックで嫌で嫌でしょうがなくなった時、ある程度の資産が貯まっていれば最悪「貧乏セミリタイア」も出来る、と心の中で思えるのが重要みたいです。

貧乏セミリタイアの問題点

少ない資産でセミリタイア出来るメリットこそありますが、貧乏セミリタイアは判断を間違えると本当の「ただの貧乏に」なる可能性があるので「後ろ楯が無さすぎ」なのが懸念点で、なかなか実践には踏み切れそうにないです。

まずは、この理論が「4%ルール」に基づいているのが問題です。

積み立てnisaでも利用してない限り、投資信託で得た利益のうち、普通分配金と譲渡益には20.315%の税金が課せられるので、実際は「3%」辺りで計算した方が無難にもかかわらず、動画内では全ての計算を4%前提で進行しているのは正直言って頂けません。
4%ルールに対する疑問は「4%ルールの「嘘」投資信託の取り崩しは破綻まっしぐら?」をご覧ください。

住居費関係も問題があって、下手な田舎に住もうものなら車関係の経費が掛かったり、田舎特有の人付き合いによる精神的負担もバカになりません。
底辺セミリタイアしたい人って(私も含めて)人間関係に悩んでる人ばかりですから。
競争原理が働かないのでスーパー等の小売店が結果的に割高になる問題も無視できません。

他にも食費なども無理のある計算だったりするので「一ヶ月の生活費」を自分で計算する必要があります。

収入に関してですが、そこまで気軽なアルバイトって存在するんですかね?
アルバイトはあくまでアルバイトなので、一生同じ場所に勤められるわけじゃありません。
基本的に年を取れば取るほど、勤め先がどんどん減っていくわけなので。

年齢制限が気になるなら個人事業でもやればいいじゃないか、と思う方もいるでしょうが、ここが一番の突っ込み所です。
また軽々しく「ブログやyoutubeで稼ごう」論を振りかざしてますね。
動画主自身も現時点で登録者2000人程度(≒月の収益2万円?)で、どれだけyoutubeで収益化するのが難しいのか知ってるはずなのに。ブログも同様で、個人事業がどれだけ難しいのか全然考慮に入れてないのが問題です。

それでもアルバイト等で生計を立てられるよう、節約なり投資なりに挑戦する必要があるのは間違いありません。
唯一、参考に出来そうなのは「資産を切り崩さない」で生活する、って部分でしょうかね?

↓一日一回、応援クリックお願いします↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました